in-facto

撮影は似顔絵よりも危険である。

幸せと苦痛を分離して考える

ykpythemind こんにちは。

トモヒロツジ よろしくお願いします。

ykpythemind はい、今回は藤本くんはお休みです。

トモヒロツジ はい、お休みなので、2人で今収録をしています。

ykpythemind 今回は「似顔絵」という作品を作りましたが、これはもう、人生が変わりました(笑)

トモヒロツジ そうだね。

ykpythemind 本当に編集が辛すぎて辛すぎて。

トモヒロツジ 「これから俺幻覚見ると思うけど、気にしないで」って、ユキト(ykpythemind)に夜中の3時ぐらいに言われました。

ykpythemind この作品を撮るまでに、自分が色々体調を崩していまして。この作品を撮った土曜日の前の水木金とかずっと体調悪くて。胃が破滅しててずっと痛くて…

トモヒロツジ うん。

ykpythemind 金曜くらいにはマシになってきてたから大丈夫かなって思ってたら、撮影の土曜の朝に尾てい骨が痛すぎて起きて(笑)

トモヒロツジ 撮影中ずっと尾てい骨が粉砕してるとか言ってたな。

ykpythemind そんでハードに撮影して、そのあと撮影メンバーで打ち上げして4時間ぐらいしっかり飲んで(笑)そのあと終電で帰ってきて、朝9時まで編集作業をするっていう流れで。

トモヒロツジ 基本的に編集を始めたらユキトがずっと映像いじってるから、俺の仕事は後ろでずっとそれを見守りながら、何か聞かれたら即レスできるように控えてることなんだけど。色々会話しながら映像を作っていく中で、明らかに3時(27時)ぐらいから、後ろから見ててもわかるくらいユキトの挙動がおかしくなり始めて。会話も上の空みたいになってきて。

ykpythemind そうなんす。半分覚えてない。

トモヒロツジ 前半に入ってるピアノのフレーズ、これ良い曲だと思うんだけど。これがちょうどその1番やばかった時間帯に作ったやつで。一通り音を入れ終わって、朝方にプレイバックしているときに、「この音楽がどうやってできたか覚えてない」とか言い出して流石にゾッとしたね(笑)

ykpythemind ほんとにね... ツジに団地で聞こえてくるどこかの家のピアノ練習とか、Nujabesとかキース・ジャレットみたいなイメージって言われたくらいまでは覚えてるんだけど。でも、正直感動してて、人って、何かを超えるとこういう形で無意識で生み出すことができたりできるんだ、って。こんなの他人には絶対やらせられないけど。

トモヒロツジ やらせられない。

ykpythemind なんかあのとき繋がってたんすよね...

トモヒロツジ ユキトが「笑うことでモルヒネと同じ効果を発揮させて辛いのを緩和してる」みたいなこと言ってゲラゲラ笑ってて、その前後はお互い限界すぎて本当に面白い話しか出てこなくて。お笑い芸人って、これくらい自分を追い込んだ時に出てくる、本当の心の底からの笑いをやってるんじゃないのかって思うぐらい笑いに対して尊敬の念を抱いたよ。

ykpythemind 命削ってた。

トモヒロツジ まあ、撮影も楽しかったし、打ち上げも超楽しかったから、早く編集はじめてればよかったとか、そんなことは全くなくて。

ykpythemind あのね、うん、ハッピーだったんだけど。幸せと苦痛はやっぱ分離して考えるべきなのよね。

出す音も含めて演技

ykpythemind 今回の試みとしては、役者としてin-factoチームじゃない2人に出てもらったのが新しい取り組みだった。

トモヒロツジ 」のときもosdくんに出てもらったけど、よりしっかりした形で2人というのがね。撮影2週間前とかに急に頼んだけど、快諾してくれた2人がいたおかげでできた作品という感じはあります。

ykpythemind 僕らの大学時代のサークルの先輩かつ、撮影場所を貸してくれた にっしーさんと、Bampuk_KahukやPOLLYANNAってバンドをやっているササキ伶菜さんに出てもらいました。

トモヒロツジ 今回は撮影もユキトと俺の2人でやらなきゃいけないってことがわかってたから、あまり変数を増やしすぎると、おそらく手に負えなくなるなっていう前提がまずあったので、作品としてはソリットで短いものにしたいっていう思想が最初にあった。そこは良かったんだけど、それに付随して結構大変だったことがあるなと思ってて。

ykpythemind うん。

トモヒロツジ まずいつもホラーを撮ったり演じたりしている人じゃない人に、自分らが書いた脚本のもと、役柄を演じてもらわなきゃいけないってところがひとつ。僕らが役者として出ている作品じゃなくて、あくまで出てもらった2人が演じている作品だと思うから、にっしーさんと伶菜さんが「これは僕が・私が出演したホラー作品です」ってきちんと言えるクオリティにしなきゃと思ってて。そこが自分の中でハードルだったかな。

ykpythemind ツジはそれを言っていたけど、俺は何も感じていなかったという(笑)

トモヒロツジ それは多分どこに精神的重きを置くかだと思うけども。自分はその気持ちがある中で、編集の時に大変だったことが1つあって。 今回の作品はセリフがないのもあって、あんまり撮った映像の音を使ってないんですよね。基本的に映像は無音にした上で、必要な音だけ足す思想なんだけど。それはポストプロダクションで、撮ったときからの方向性やアウトプットが変わりうる作り方だと思っていて。

ykpythemind ツジは本当にそこずっと悩んでたよね。編集を進めるほどに、撮ってる時に見えてたゴールから遠ざかってくみたいなことを言っていた。ツジくんも繊細やねえと思ったけど、たしかにその時その時で演者が出した音、動いた音にはその時の空気感が強く付属しているのもめちゃくちゃ同意する。

トモヒロツジ そうなんですよ。本当はカメラでの録り音があんまりよくなかったからそのまま使いたくなかったんだけど、若干目をつぶって、後半部分で使うことにして着地してよかったと思ってる。

ykpythemind 音をほとんど使わない前半と、役者の音をほとんど使っている後半で雰囲気とか変わるのは発見だったし、自分でも想像してなかった。

トモヒロツジ 音も含めて演じる人の演技なんだなって、編集してる時に感じたね。演技から音だけ剥奪して、別のものをつけるのって、例えるの難しいけど、誰かにギターソロを弾いてもらって録音したあとに、本人に無断でそのギターソロのキー(調)を勝手に変えちゃうみたいな。それって結構破壊的な行いに感じてしまって。 まあそんな感じで、僕は1人で編集の時にめちゃくちゃ悩んでたっていう話です。

瓶に詰められた絵も1つ1つ描かれている (撮影:にっしーさん)
瓶に詰められた絵も1つ1つ描かれている (撮影:にっしーさん)

花粉症に負けないで...

ykpythemind にっしーさんは演技めちゃ良かったんだけど、途中から花粉症の薬が切れたらしくてめちゃくちゃ鼻すすってて(笑) ポストプロダクションで鼻のすすってるとこを5箇所くらい別の音に差し替えてみたいなことをしました(笑)

トモヒロツジ もう皆さん一切わからないと思いますが。

ykpythemind この映像の中で、怖い画家が鼻すすってると一気にズコーってなるから面白い。まあ僕らは音声編集は任せろって感じだから。

トモヒロツジ あれは完全にもうプロの仕事でしたね。

ykpythemind まあ俺らは俺らで、録音自体のクオリティ上げたいというのもあって、録音班求むみたいな気持ちも正直ある。

トモヒロツジ まとめとしては、今回は一番辛い思いしたけど、それでもコンスタントにアウトプットを出すことは大事にしていくべきだなと思った。主要メンバーの藤本くんがいないことで、アウトプットとしては空気感とか方向性が変わったんじゃないかなってて、それも1つの変化として楽しんでもらえたらいいかなと思ってる。

ykpythemind 今後も色々変化しつつやっていこうと思ってます。変化していくin-factoをお楽しみに!

トモヒロツジ お疲れ様でした。また。

2023/3/7 収録

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